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後半。夏祭りスタートォォ。
ここら辺になると恥ずかしすぎてちょっとよく分からないですね。

 祭りの会場は色とりどりの浴衣を着た人たちで溢れ返っていた。ズラリと並んだ露店が夏の闇を明るく照らし、いつもは人の少ない神社もこの日ばかりは賑やかな声で満たされている。そして神社の入り口で、5人は人通りを眺めていた。
「すっごい人ッスねえ!」
「はぐれないようにしなくちゃね」
「ミク、心配ならオレと手ぇ繋いどく?」
「遠慮しとく」
「あっじゃあ鏡音くんも僕と手を繋ぐッスー!」
「だっ、駄目に決まってるでしょ!」
「ボクは鏡音くんにお願いしてるッスよー。ねっ鏡音くん」
「…………」
 また始まった、とミクは肩を竦める。いつもはツインテールの彼女の髪は、青い色の浴衣に合わせてお団子スタイルだ。浴衣の襟から覗く白いうなじと零れた遅れ毛が普段よりも妖艶な雰囲気を醸し出していた。先程から道行く人が彼女に視線を寄こしているものの、慣れているのかミクは相手にもしていない。
 その隣のリンはオレンジ色の明るい浴衣を着ている。普段は下ろしている髪をアップにしたリンは、駅で合流してからずっとレンを挟んでグミと口論しっぱなしだ。
「でもこれじゃあはぐれちゃうッスよ。ボク方向音痴だし。だから鏡音くんと手を繋ぎたいッスー」
「……っ、じゃあ」
 リンは突然ぐわしと右手でグミの左手を掴んだ。
「ハイこれで文句無いでしょ!」
「…………でも、ボクは鏡音く、」
「わ・た・し・も! “鏡音”なの! 行こうミクちゃん!」
 リンはグミの手を強引に引きながら、空いている左手でミクの手を掴むと人ごみに飛び込んだ。
「ちょ、ちょっと待ってッスよ」
「これならはぐれないから文句無いでしょ!」
 戸惑った声をあげるグミもリンはおかまいなしだ。複雑そうな顔をして引っ張られるグミとミクの視線がかち合う。するとミクはグミにむかって実に楽しそうに笑いかけたのだった。
「ちょちょちょっとミク! リン! 待てって――――」
 慌てて追いかけようとしたミクオの手がぐっとひかれる。
「なんだよレン!」
「手」
 ミクオの手をしっかりと掴んだレンは、真剣な眼差しのままきっぱりと言った。
「オレ、はぐれるから繋いどいて」
「なにこのBL展開いいいいいミク助けてええええええっ」
 手を繋いだまま、リンは色んな露店を見て回った。カキ氷を買った時に「このままじゃ食べられないでしょ」とミクは手を離したが、グミの手はどんなに文句を言われても決して離さずに握りしめたままだった。
「左手があっついッスー手汗ひどいッスよー」
「ううううるさいなあ! 神威さんの手汗かもしれないでしょ!」
 子犬のようにきゃんきゃんと騒ぐ2人をミクは母親のように優しい目をして眺める。それから後ろからついて来ているレンとミクオを振り返った。
「で、あなたたちはいつまで手を繋いでるつもり?」
「ミク! 違うんだ! オレは手を離したいんだけどレンが離してくれな……ぎゃああああレンてめえっオレの手にイカ焼きのタレ零すな!」
 悲鳴をあげるミクオもどこ吹く風でレンは大量の食べ物を抱えてもぐもぐと口を動かしている。
「あ、ミクちゃん! あそこに射的あるよーっ」
「え? どこどこ? 射的したい!」
「ほら!」
 リンが指差した方を見れば棚にずらりと商品が並べられた射的の露店があった。
「お、射的オレもしたい!」
「みんなでやってみましょ」
「私射的は初めてかもっ!」
「ボクも行きたいッスー!」
 はしゃいだ様子で5人は露店に向かう。お金を払い、早速ミクオがコルク銃を構える。
「よし。じゃあミク、何が欲しい? オレが取ってやんよ」
「いらない。欲しいものは自分で取るから」
 パァン! という破裂音が連続で響いた。素人とは思えないような銃の構え方でミクは5発全てを一番大きなぬいぐるみに命中させ、ぼとりと景品を落下させた。
「すっ、凄い凄いミクちゃん! もしかして射的、初めてじゃないの?」
「うん。海外に居た頃に父親が趣味で射撃やってたからそれにちょっと付き合ってたの」
「すごいッス! 海外にいたッスか!」
「んー…まあ、ね……。あっ、神威さん何か欲しいものある? 取ってあげるよ」
「本当ッスか! えーっとじゃあ……」
 ミクオはぷるぷると銃を握りしめたまま震えている。
「…………ッレン! オレっ、もう射的なんてやりたくない! お前がしろ! うわあああーん!」
 ミクオはぐいっとレンにコルク銃を押し付けた。レンがどうしようかと無言でコルク銃を見下ろしていると、
「お客さーん、撃つの? 撃たないの?」
 妙に強面の店主が脅すように訊いてくる。レンはミクオをちらりと見て(「くっそー! 射的なら自信あったのにー!」)はあ、と溜息をついてからしぶしぶといった様子でコルク銃を構えた。
(――――あ)
 はしゃぐミクとグミ越しにリンはコルク銃を構えたレンを見つめた。
(かっこいいぃ……っ)
 キリッとした横顔(リンフィルターON)にきゅううんと胸が高鳴る。しっかり心に焼き付けておこう! とリンは穴があくほどレンを見つめた。
 短い破裂音が響いた後、コルク弾は小さなゴム人形に当たった。
「はい兄ちゃん。ここから好きなの選んでいいよ」
 店主から差し出された箱には携帯のストラップやら小さなマスコットなどがごちゃごちゃ詰め込まれている。どうやら残念賞の類のようだった。レンはそれをじっと見つめてから、おもむろに1つの景品を掴んだ。そしてリンの方へと歩いていく。突然レンがこちらに向かってきたので、こっそり見つめていたのがばれたのかとリンは泡を食う。
「えっ、あっ、レンくん! 私は別にこっそり見ていたとかそんなことは決して」
「……これ。あげるよ」
 レンがぐいと手を差し出した。その掌には小さな花の飾りが付いたヘアピンがあった。
「――――え?」
「リン、ヘアピン使うでしょ。いらない?」
 言われてリンは、そろそろと自分の前髪に手をやった。そして、みるみる顔を赤くさせる。
「……いっ、いる! すごくいる! でも本当にいいの?」
「うん。まあ、ミクオのお金だけど」
「ありがとうレンくん!」
 嬉しさで頬を上気させてリンはヘアピンを手に取った。それをぎゅっと胸に抱えて「えへへ」と笑う。
「大事にするね!」
 欲しいものが無かったので最初に目が付いたヘアピンをあげただけでレンに他意は無い。しかしそれが分かっていてもなお、リンは頬が緩むのを抑えきれなかった。
 そしてそれをこっそりと見ていたグミが悲しそうに目を伏せたのを、ミクは見逃してはいなかった。


 そうしてしばらく露店を回っていると、「あれっ」とリンが声をあげた。
「神威さん、どこ?」
 言われてリン以外の3人がきょろきょろと周りを見渡す。しかしグミの姿が見当たらない。リンは自分の右手が何も掴んでいないことにようやく気付いた。
「はああっ! そういえば手! 握ってない!!」
「リンちゃん射的のところからずっと手離してたよ」
「言ってよミクちゃん!」
「しかしこれだけの人の数だと探すのも大変だな……」
 花火があがる時間も近くなり、人の数はさっきよりも増えている。移動するのも一苦労だろう。
「二手に分かれて探すしかないわね。見つけたら携帯に連絡しましょ。ミクオ、行くよ!」
「え、あっ、うん」
 リンとすれ違いざまに「頑張れ」とミクは囁くと、ぱたぱたと走り去る。
「みっ、ミクちゃん!」
 その背中にリンは叫ぶが、ひらひらと小さく手を振ったのを最後にミクの姿は人ごみに紛れてしまった。リンは頬を赤くしたがぶんぶんと頭を振る。
「いっ、今はそんな場合じゃない! レンくん私たちも」
 がしり。と手を掴まれる。
 リンは自分の手を見た。
 そしてその手を掴んだレンを見た。
「オレ、はぐれるから繋いどいて」
 リンが爆発したのは言うまでも無い。


――――気持ち悪い。
 吐き気をおさえながらグミは唇をかむ。神社の境内の近く、人気の無い暗がりでグミは数人の浴衣を着た女の子に囲まれていた。
 そのうちの1人が、いやにゆっくりとした足取りで一歩、グミに近付いた。
「こんな所でなーにしてんの神威さん? 7月とかぜぇーんぜん学校来なかったじゃん? サボりは良くないと思うなあ」
 くすくすと嘲笑が広がる。グミは俯いたまま答えない。
「まさかあの変なお兄ちゃんのところにずっといたとか? 相変わらずブラコンだねえ。兄妹揃ってキモいなあホント」
「…………」
「……ねえ聞いてる?」
 強く突き飛ばされてグミがよろめいて倒れた。それでもグミは人形のように押し黙ったままだ。ちっ、と舌打ちが響く。
「いーや別に。アンタが来ても来なくてもどーでも良いし」
 吐き捨てられた言葉に、ぴくりとグミの肩が震えた。その反応に相手は気付く様子も無く、ふんと鼻を鳴らした。
「そんなことより今日はさ、お金……」
「ボクのこと、どうでも良いッスか」
 グミは遮るようにそう言って、自分を見下ろす相手の顔を見上げた。
「は?」
「ボクのことは、どうでも良いッスか……? 居ても居なくても同じッスか……?」
 怪訝そうな顔をした彼女に向かってグミはゆっくりと繰り返した。突然口を開いたグミに対して驚いていた彼女も、ぷっと吹き出した。
「あはは! 何言ってんの? そうに決まってんじゃん!」
「なに? 友達だとでも思ってたの? ごめんねー」
「ありえねー!」
 嘲笑がグミを取り囲む。グミは拳を固く握ったまま静かに肩を震わせる。
 痛かった。
 掌の擦り傷が痛かった。
 なによりも心が痛かった。
 馬鹿にされても人形のように押し黙ることしか出来ない自分が悔しかった。
(居ても居なくても同じ)
(友達なんて、ぜんぶボクの幻想で)
 笑い声と言葉がざくざくと心に突き刺さり、そこから血が噴き出すようだ。あまりの痛みにグミは自分の体を抱きしめる。

―――――――兄者、

「誰があんたみたいなブラコンと友達になるかよ!」
「友達ならいるけど」
 しん、と水を打ったようにその場が静まり返る。グミは顔を俯かせたまま目を見開いた。
(え?)
「オレ、そこのグミさんと友達ですけど」
(この声)
 グミは信じられない気持のままそろそろと顔をあげた。クラスメイトたちのシルエットの隙間から、影が2つ見える。グミは声にならない声で名前を呼んだ。
「……鏡音、くん」
「とりあえずどいてくれませんか? グミさんとはぐれたんで探してたんです」
「……誰? アンタ」
「1年4組出席番号24番、鏡音レンです」
「あっ! わ、私は1年4組出席番号23番、鏡音リン、12月27日生まれ山羊座の」
「そうじゃなくて。アタシたち今すごく大事な話してんの。邪魔しないでほしいのよねえ。……で、コイツのなに?」
「……だから友達って言ってんだろ」
 レンの声のトーンが一段低くなり、語気が強くなる。見たことも無いレンの様子にリンは驚いた。
「……どいてください。グミさん探してる友達も待ってるんで」
 静かだが、有無を言わせぬレンの迫力に相手はたじろいだ。気まずそうに目配せを交わすと、逃げるようにその場を立ち去っていく。
「……だいじょうぶ?」
 へたりこんだままのグミにレンは歩み寄った。
「鏡音くん、どうしてここが」
「クラスメイトがあの人たちに囲まれてるグミさん見つけて教えてくれた」
「そう、ッスか」
 ふいとグミはあの集団が消えていった方向を見つめた。今は誰の姿も見えず、闇があるだけだ。
「あの子たちは、ボクの通ってる学校のクラスメイトッス。えへへ、こんなこと言うの恥ずかしいんスけど、ボク、友達がいないッスよ。だから本当は兄者のことを心配出来る立場じゃないッス」
 グミは口元だけで弱々しく笑い、ごしごしと目を拭った。
「あ! 別にボクはこれくらい平気ッスよ! 友達がいなくてもボクには兄者がいるッス! でも、こんなこと言うと兄者は心配すると思うから、だからさっきのことは兄者に黙っていて欲しいッス」
「……うん」
 こくりとレンは頷いた。そして
「でも、グミさんはもうオレと友達だよ」
 え、とグミの口から言葉が漏れる。
「それにリンもミクオも初音さんも、グミさんのこともう友達って認識だと思うけど」
「そうだよ!」
 後ろで2人を見守っていたリンが声をあげる。
「グミちゃんはレンくんにべたべたするからちょっと……ううん、かなり困ってるけど、私はグミちゃんのこと立派なライバルだと思ってるよ!」
「いや、リン……友達だって言ってるんだけど……」
 グミは傷だらけの自分の左手を見つめた。その体温がふわりとよみがえる。
 リンに手を握られた時はどこか気恥ずかしくて、そして本当はどうしようもなく嬉しかった。
 友達がいなくても平気なんて見え見えの強がり、とっくにレンはお見通しだろう。
 夢だったのだ。友達とこうしてお祭りに行くことが。わいわい騒ぎながら露店をめぐり笑いあうことが出来たらどんなに良いだろうと、何度思ったか分からない。そして今日、その夢は自分が想像したよりもずっと呆気なく叶ってしまった。そしてその夢は自分の空想よりもずっと、温かくて楽しいものだった。
「ボク……みんなと、友達に、なれたッスか」
「うん」
「ボク……」
 小さく目を見開き、声を震わせながらグミは尋ねた。
「鏡音くんの、友達で……良いッスか?」
「……良いもなにも」
 レンはぽりぽりと頭をかいた。
「グミさんから言いだしてなかったっけ。友達になろうって」
 はい、とレンはグミに手を差し出す。グミはその手をじっと見つめて、そしてゆっくりと手を伸ばして手を取った。
 その瞬間、辺りがぱっと昼間のように照らされた。
 直後に大きな爆発音が辺りに轟き、3人は同時に空を見上げた。
 そこには向日葵のように鮮やかな花火が夜空を彩っていた。次々に打ち上げられる美しい花火に、3人はしばらく言葉を失う。そしてそれを見つめるグミの瞳から、静かに涙が落ちた。
「……あり、ありがとうッス鏡音くん……っ。ありがとう、ッス」
 しゃくりあげながらグミは繰り返す。レンはしっかりと手を繋いだまま「うん」と優しく頷いた。
 そしてリンはその光景を傍らでじっと見つめていた。花火で照らされる2人の姿と、握られた手。思わず視線を逸らし、レンからもらったヘアピンを強く握りしめていた。そしてようやく掠れた声で「レンくん」と名前を呼んだ。
「あの、私…………ミクちゃんたちに電話してくるね……2人はここで待ってて」
「うん。よろしく」
「……うん。任せて」
 リンは踵を返しその場を離れる。頭の中を、いつも明るく振舞っていたグミと、暗がりで震えていたグミが交互に頭を過ぎった。そして、そのグミのために怒り、そして優しく声をかけるレンも。
 こんな時に、こんな感情を抱くなんて不謹慎だということは理解していた。だけどこれ以上あの2人を見ていたら感情が爆発してしまいそうだったのだ。
(分かってた)
 家まで送ってくれたのも。
 勉強を教えてくれたのも。
 ヘアピンをくれたのも。
(“私”だったからじゃない。レンくんが“優しかった”から。ただそれだけなんだ)
 慣れない下駄で足が痛む。それでもリンはからころと早足で歩いた。1時間かけてセットした髪は、すっかり乱れてしまっていた。




「イジメ、ね……」
 お祭りの次の日。朝のホームルームが始まる直前にリンとミク、そしてミクオは教室でレンの話を聞いていた。
「まあ理由は色々あるみたいだけど……だから2学期からは遠くの学校に行くって」
「そっか……だからお兄さんとも当分会えなくなるから夏休みに会いに来てたのね」
「だろうなー。あーそっかー。そんなことが……グミちゃんも色々大変だったんだなあー」
 ミクオははあ、と溜息をついた。
「またグミちゃんが遊びに来てくれたら、また5人でどっか出かけようよ!」
 リンの提案にミクは大きく頷く。
「そうだね。まあ鏡音くんに今日も会いに来るかもしれないし」
「はっ! そうか! それは駄目っ!」
 ホームルームの予鈴が鳴る。4人は話をそこで止めて各々の席に着いた。しばらくして教室のドアが開き、いつものようにメイコ先生が入ってくる。そしてその後ろには―――――
「ええええええええええ!!」
 リンの絶叫が響く。それに続いて教室が一斉にどよめいた。そこにはなんと、リンたちと同じ制服を着たグミが立っていたのだ。
「なっ、なっ、なななな何でグミちゃんがここにっ」
「あれ、レンくんに言ってなかったッスか? 転校するって」
「とっ、遠くの学校って……!」
「そうッス!」
 ぱああっ、と例の汚れ無い眩し過ぎる笑顔を浮かべてグミは言った。
「ここは正真正銘、“ボクの家から”遠い学校ッスよ!」
 へなへなと脱力したリンは机に突っ伏し、ミクは苦笑いを浮かべた。お帰りグミちゃーん、とミクオは手を振った。レンはぼんやりと教室の外を眺めて昼ご飯のことを考えている。
 仕切り直すようにぱん、とメイコ先生が両手を叩いた。
「ほらほら静かに! 今日からこのクラスの仲間入りをする転入生の神威さんです。じゃあとりあえず神威、自己紹介をしてもらおうかな」
「分かったッス!」
 元気良く返事をしてグミは教壇の真ん中に立った。そして向日葵みたいな笑顔を浮かべた。
「神威グミッス! グミって呼んでほしいッス! 好きな人は兄者と、レンくんッス!」
 眩しいくらいに白い入道雲の下。こうしてこの日から、リンのクラスは以前よりもずっと騒がしくなることとなった。






10.12.27
クラスメイト全員がグミを名前で呼ぶようになるのも近い未来のこと。






【オマケ】

「あれ、リンちゃんヘアピンかえた? お花ついてる」
「えっ……あ、うん。どうかな」
「良いと思うよ! 可愛い可愛い」
「レンっく――――――――――――――ん! 兄者がぬこの写メ送ってきてくれたッスよー! 見て見て!」
「ええええっ、レンくん犬派じゃなかったのっ? うちのレン(柴犬)を見捨てるのっ?」
「いや……特に何派とかは無いけど……」
「はっはっはーいやあ、今日も元気だねえ。なあミク?」
「…………」
「……ミク?」
(お祭りの日以来、リンちゃんの様子が少しおかしいな……)
(お祭りの日以来、ミクの様子が少しおかしい……)
(もしかして、鏡音くんと何かあったのかな)
(もしかして、射的の露店で昔の話した時に嫌なこと思い出したのかな)
((ううーん……))
「……ねえレンくん。ミクちゃんとミクオ、何か変じゃない? すごく難しい顔して、何か悩んでるのかな」
「ミクオはいつも変だから大丈夫だと思う」






10.12.27
次回、リンとレンの関係が大きく動き出したりするのかもしれない!

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細雪と掌 恋するリンちゃんとマイペースレンくん 3 (前編)
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